まず,このピースを組んでできる図形は正三角形をつなげたものであり,そのつながり方から,下左図の黒い正三角形の集合の部分集合となっているはずです。
この規則によれば,左図のある一列にならんだ黒い正三角形に関して,どの正三角形が図形に含まれるかが決まれば,その下の列に含まれる正三角形について,含まれるかどうかが決まるはずです。すなわち,各正三角形の上の頂点が接する上の行の2つの正三角形のうちの,どちらか一方だけが図形に含まれる時にのみ,その正三角形は含まれるという規則で,1列についてどの正三角形が含まれているかを定めれば,それより下の正三角形が所属するかどうかは自動的に決まっていきます。各三角形が図形に含まれたら 1, 含まれなかったら 0 で表現することにすれば,この演算は排他的論理話と呼ばれるものに一致します。
この,ある列から次の列を作る操作は, 黒い正三角形と灰色の空白地を意味する反対向きの正三角形を全て正方形のセルに置き換えて考えれば, 各セルの値が,その上の行の前後3つのセルの値が (1, 0, 0) および (0, 0, 1) の時には 1 になり,それ以外の時には 0 になるという,ルール 18 のセルオートマトンで,初期状態が一つおきに 0 である状態からスタートした時の時間発展を表したものと考えられます。
面白いのは,このセルオートマトンによる解釈を,上から下だけでなく,左下から右上,右下から左上と,正三角形の頂点から対辺に向かう3つの方向の,どの方向にも行うことができることです。すなわち,3方向のどの方向へも,セルオートマトンの時間発展の挙動と考えることができます。
ある程度,TriMata のピースをつなげたとします。すると,そのピースに合わせて黒い正三角形が並んでいると考えると,それらのピースを含む正三角形の集合が考えられます。それから,このオートマトンの規則を3方向に適用して,ピースで埋めていきます。その途中で,規則の適用結果が 0 なのに,実際にはピースが存在するような場所があったら,それは,元の配置が矛盾を含んでおり無限に拡張できない配置であったということです。
この操作により,与えられたピースの集まりを含むような,最小の下向きの正三角形の中のそれぞれの正三角形の 0 か 1 が定まります。その外側は,どこかにピースをつなげると,(同じところへのつなげ方は2通りあります),そのピースを含む辺の三角形の 0 か 1 が自動的に定まります。このようにして,ピースが含まれているかどうかの決まった三角形が大きくなっていきます。それを無限に繰り返すと,無限に大きな図形ができます。