TriMata (三又)

京都大学人間・環境学研究科
立木秀樹


次の図形を接続辺(凸凹のある辺)で つなげていくと,どんな図形ができるでしょう?


黄色のピースの右の2つの接続辺へのつなげ方
接続辺が残らないようにつなげていくことを考えるのですが, 接続辺が全く残っていない作品を有限個のピースから作るのは不可能です。そこで,下図のような行き詰まりが起きないように,ピースの塊をどんどん大きくしていくことを考えましょう。


赤いピースの右向きのヘッドには何もつなげられない
TriMata で作られる形の一例です。
[シェルピンスキーの写真を追加]

このピースは,他にも「予期しない」つなげ方が考えられます。 制限をつけずに遊ぶと,いろんな形ができて創造性がかきたてられます。写真ページのワークショップでの子供達の作品をご覧ください。

数学的背景:

このピースは,正三角形を三等分してできるたこ形を2つ棒でくっつけた形です。
接続辺をつなげやすくするために,凹凸をつけてあります。 もし,凸と凸,凹と凹の辺をつなげて接続辺が残らない図形を作ろうとしても, すぐに行き詰まってしまいます。ですので, 凹凸をつけた接続辺で考えても,凹凸のない接続辺で考えても, 接続辺が残らないようにつなげてできる図形は同じです。

実は,これで作られる図形は,ルール18の(3方向)セルオートマトン(Cellular Automaton) が作る図形と一致しています。 Automaton の複数形が Automata であることや,上のような3回対象の写真の真ん中の黄色い図形(三又と呼ぶことにします)が作れることから,このパズルに TriMata (三又) という名前をつけました。