極小凸イマジナリーキューブとそれを用いた教材

極小で凸なイマジナリーキューブは,鏡像を含めて16通りしかありません。 これらを用いた授業を,様々な場所で行ってきま した。

この中には,正四面体や立方八面体のような,お馴染みのきれいな形もあれば,名前のつけられていない不規則な形もあります。 授業では,それぞれの立体の辺,頂点,面の個数を数えさせて,一覧表に書かせます。実は,この,数えるという作業はかなり大変で,大抵の場合,間違ってしまいます。こういう作業は途中で面倒くさくなってくるので,なおさらです。しかし,私が書きかけの紙を見て,オイラーの定理でさっと間違っている立体を指摘してやると,気を引き締めて数えるようになります。そうしている中で,どのグループも,正しく数えられたところで,どうして私が紙を見てすぐに間違いを指摘できたのか興味をひいて,そこで,オイラーの定理の説明を始めます。

最後に,これら16個はある規則に従ってできていると言って,それを考えさせます。授業の最初に,正四面体がイマジナリーキューブになることの前フリをしておくのですが,それでも,正方形に見えるという性質に気がつくのは容易ではありません。そして,箱に入れてもらって,極小凸イマジナリーキューブの話を始めます。極小凸なイマジナリーキューブというのは,立方体からはじめて,ナイフで切断していって,これ以上切断するとイマジナリーキューブでなくなるぎりぎりの立体ということで,中学1年生でも理解できる概念です。

本当は,この後に,立方体の透視図の中に立体を書かせながら,これ以外のイマジナリーキューブを探させて (いろいろ思いついても,必ず,回転でどれかと一致してしまいます),その上で,この16個しか存在しない説明までもっていったら,立体の感覚のいい訓練になると思うのですが,まだ,そういう授業はできていません。