イマジナリーキューブ

H-フラクタル

H は次のような立体でした。

H-フラクタルも,シェルピンスキー四面体と同様に,自分の縮小像を集めてできた立体を作る操作を繰り返すことによりできています。上図の赤丸の9個の点(H の 8 個の頂点とH の中心) を中心として H を1/3 に縮小したものを合わせた立体 H1 を作ります。 次に,同じ操作を H1 に対して行い,立体 H2 を作ります。同じことを繰り返すと,立体が小さくなっていく列 H, H1, H2, ... ができます。

これを無限に続けて行ってできる立体(より正確には,H, H1, H2, ... 全ての共通部分)が H-フラクタルです。 H-フラクタルに対して同じ操作をしても,H-フラクタルに戻ります。つまり, H-フラクタルは,H-フラクタルを 1/3 に縮小したもの 9 個からできている自己相似図形です。

H-フラクタルはイマジナリーキューブ

下の写真は,立方体の箱に入れた H, H1, H2, H3,... を3Dプリントで作成したものです。 これらの立体は,全てイマジナリーキューブです。

そして,その極限の H-フラクタルもイマジナリーキューブです。 驚いたことに,H-フラクタルは,立方体の面の3方向以外の方向から見ても正方形に見えます。

H は,面方向から見て正方形に見えます。すなわち,H が正方形に見える方向は,3方向ではなく 6 方向あります。実際,H は 60度回転させても立方体の箱に入るので,箱への入れ方は2通りあります。このように,H は,二つの立方体に対してイマジナリーキューブになっている「ダブルイマジナリーキューブ」です。 それから上の方法で作られた H-フラクタルも,ダブルイマジナリーキューブになっています。

H-フラクタルの影

H-フラクタルの影も自己相似図形です。H-フラクタルの近似模型を,光のもとで回転させると,下図のように影が連続に変化していきます。ほとんどの影は,近似立体ではなく完全な H-フラクタルを考えた時には面積が 0 になりますが,正方形をはじめ,上の3個の写真のように面積を持った影も現れます。

2番目の影は下図の形をしています。これも自己相似図形で,この図形を 1/3 に縮小したもの 9 個集めたらもとに戻るのですが,わかりますか?
下の図のそれぞれの色はこの図形を 1/3 に縮小したもので,これら9個を合わせると元の図形に戻ります。

どういう方向から光をあてると,面積をもつ影ができるかについては,「フラクタルの影」の章で説明します。